ガラスの可能性

能登島ガラス美術館と輪島塗

2020/11/09


こんにちは!安藤です。
今回のテーマである「能登島ガラス美術館」「輪島塗」、この2つの共通点はズバリ「石川県」です。

能登島ガラス美術館は、石川県能登半島の一部「能登島」にある美術館で、ガラス作品を展示しています。
輪島塗は、石川県輪島市で古くから生産されてきた漆器の一つです。

今回は、能登島ガラス美術館や輪島塗会館への訪問を通して感じたガラス作品や輪島塗、そして石川県の魅力をお伝えしたいと思います。

能登島美術館ってどんなところ?

能登島ガラス美術館のある能登島とは、石川県能登半島の東側のえぐれた部分にある大きな島です。能登半島の一部分がこんな島になっていることを今まで知りませんでした。

この能登島へは、「能登島大橋」「ツインブリッジのと」という2本の橋から上陸することができ、今回紹介する能登島ガラス美術館の他にもイルカウォッチングやキャンプ、海水浴とさまざまなアウトドアが楽しめます。


(能登島大橋)

そんな自然豊かで魅力あふれる島に、能登島ガラス美術館は存在しています。

能登島ガラス美術館の概要

能登島ガラス美術館は、平成3年に開館した美術館で、世界各国の現代ガラス作家の作品を中心に400点近くの作品を収蔵しています。



公式ホームページによると、美術館の設置目的は「ガラス芸術の情報発信基地として国内外のガラス芸術活動の中枢的役割を果たし、カルチャーリゾート能登島の発展に寄与すること」とあり、ガラス作品の収集や展示だけでなくワークショップなども行ってガラス芸術に貢献しています。

建築物の説明 建築家や建物について

能登島ガラス美術館を訪れると、まず驚くのがその前衛的な建物の形です。

球体や円形を多用した、かなり独特でインパクトのある形状をしており、建築したのは北海道釧路市出身の毛綱毅曠という建築家で、なんでも「ヒトが宇宙や自然と共生できる風水を取り入れた設計コンセプト」に基づいて建築設計を行う人だそうです。

現代的なガラス彫刻のある洋風庭園や枯山水の和風庭園などもあり、建築という面からも楽しめる美術館です。

特に、洋風庭園に設置されたガラス作品は規模が大きく、ぜひ晴れた日に見てほしい展示です。

展示物の説明 「企画展 色とりどりの」

私が訪れた際、能登島ガラス美術館では「企画展 色とりどりの」という企画展が開催されていました。

「色とりどりの」という名の通り、ガラスの中でも特に色ガラス(ガラスに鉱物を混ぜて色を付けたもの)にフォーカスした企画展で、能登島ガラス美術館収蔵のガラス作品の中でもとりわけ鮮やかな色と光を放つ色ガラスを堪能できるのがこの企画展の魅力です。

「色ガラス」と一言で言ってもその表現は多彩で、ポップでカジュアルな印象を与えるガラス作品からシックでエレガントな装いを見せる作品、色ガラスの素朴な風合いそのものに焦点を当てた作品まで、色ガラスの多彩な魅力を感じることができました。

色ガラスの作品そのものに加えて、作品の周辺に落ちた光も作品の一部として楽しめました。

輪島塗会館ってこんなところ

続いて訪れた輪島塗会館は、その名の通り、漆器の一つ「輪島塗」の歴史・文化や製法を展示している施設です。

会館が存在する石川県輪島市には古くから漆文化が根付いており、漆器の中でも最高峰といわれる「輪島塗」の産地です。

北陸新幹線の開通やNHKの朝ドラ「まれ」により石川県や能登半島、「輪島塗」に興味を持った人も多いのではないでしょうか。

では、さっそく輪島塗会館についてご紹介します。

輪島塗会館の概要

輪島塗会館は、輪島塗の伝統や歴史を発信する情報拠点施設です。

輪島塗会館自体は、平成27年に完成しており比較的新しい施設ですが、その前身となる資料館は昭和46年に公開されており、半世紀近い間、訪れた人に向けて輪島塗の歴史や技術を発信し続けています。

会館建物の外観は、一面の黒い壁や屋根と赤い柱を基調に金の文字で「輪島塗会館」の文字が施されており、まさに輪島塗を建物で表したような見た目です。

建物に入る前から、期待の高まる素晴らしい外観です。

1階部分は輪島塗のショップ

輪島塗会館の1階部分は、輪島塗作品のショップになっていました。

輪島市内の62の漆器専門店が共同で出店しており、数々の名品がずらりと並んだ棚はまさに圧巻です。



定番のお椀やお皿・お盆やお箸はもちろん、花器やぐいのみ・コーヒーカップ、ブローチやイヤリングといった変化球の品々まで、本当にたくさんの輪島塗作品から自分だけの逸品を選んで購入することができます。

見ているだけで豊かな気持ちになりました。価格は、やはりそれなりにしますが、お金をかけるだけの価値はあると思います。

ちなみに、漆を重ね塗りすればするほど、その漆器の価値と価格は上がっていくそうです。

2階部分は有料博物館

輪島塗会館を2階に上ると、「輪島塗資料展示室」という輪島塗の歴史的資料を集めた資料館を見ることができます。



この輪島塗資料展示室には、何と3800点を超える資料が展示されており、その中には国の有形民俗文化財に指定されている貴重な輪島塗作品もあります。

輪島塗の作品のみならず、輪島塗を作成するための道具なども展示してあり、さらには輪島塗ができるまでの100を超える工程の説明も、面白いところでは、職人の生活用具や販売関係用具の展示もありました。

輪島塗は、完全分業制で製作されるそうで、その製作手順を知れたのも貴重な体験です。

入館料は、大人300円・高校生200円ととても良心的ながら、輪島塗の魅力や歴史を目いっぱい感じることのできる資料館です。

漆とガラスを融合させることを思いついた

今回、輪島塗会館と能登島ガラス美術館を訪れた中で思いついたのが、
「ガラスに漆は塗れないの?」
という点です。

ガラスと漆透明感と重厚感。異なる二つの素材の組み合わせは、一見正反対に見えつつも調和しそうではないでしょうか。

そう思いネットで調べてみたところ、すでにガラスと漆のコラボレーションに挑戦されている工房がいくつか発見できました。

ガラスの容器に線を引くように色を付けたり、下から色が層になるように漆を塗り重ねたりと、見事にガラスの透明感と漆が調和した美しい作品がずらり、とても素敵な作品を製作されています。

本来ガラスに漆を塗るのはとても難しいらしく、技術が発展したおかげでこういった「ガラス×漆」という組み合わせが実現できたそうです。

自分の思いつきを形にできなかったことは少し残念ですが、いつかこれらの工房にお邪魔して実際の作品作りを見学してみたいと思います。

そして、ぜひ自分用の漆作品も購入してみたいものです。

まとめ

今回、輪島塗会館や能登島ガラス美術館を訪れたことで、今まで知らなかった石川県の魅力輪島塗・ガラス作品の魅力を堪能することができました。

輪島塗会館では長い歴史と技術の発展を背景に持つ輪島塗を知ることができ、能登島ガラス美術館ではガラスの可能性を改めて考えることになりました。

また、漆とガラスという歴史も性質も異なる二つの物質を組み合わせることで、今また新たな芸術作品が生まれていっているということも知れました。

古い歴史と新たな技術が共存する文化を持つ石川県。石川県に訪れる機会があれば、ぜひこの輪島塗会館と能登島ガラス美術館に足を運んでみてください!

ライター

安藤

安藤

この道30年。ガラス、鏡のことなら何でもおまかせ! 寝ても覚めても頭の中はガラスと鏡でいっぱい(笑) 正しい知識でガラスと鏡の購入をしっかりサポートします。