ガラスの事件簿 設置方法

どれくらい厚ければいいの?ガラスの用途と厚みの関係について

2024/04/10

ガラスの厚み



こんにちは、安藤です!

ガラスは、窓やドアなどの建築素材としても、テーブルや棚板などの家具の素材としてもよく使われる素材です。でも、ガラスは割れやすい素材でもあります。もし用途に適したガラスを選んでいなければ、簡単に割れてしまってもおかしくはありません。

ここで大切なのは、ガラスの「厚み」。使い方や大きさに合わせて適切な厚みを選べば、そうやすやすと割れることはありません。ですから、ガラスの購入を考えるなら、まずはその用途に必要な厚みを知っておくことがとっても大切なのです。では、どの使い方に対してどの厚みのガラスを使えば安全と言えるのでしょうか。

このコラムでは、用途に適したガラスの厚みの目安をご紹介します。さらに、「もっと正確に必要な厚みが知りたい!」という方には、適切な厚みと料金が「たった30秒」で簡単に分かる方法もご紹介。ぜひこの情報を役立てて、安心して使えるガラスを選んでくださいね。

それではさっそく、見ていきましょう。

ガラスの厚さ、その基本

ガラスにはどういった厚さがあるのか、また基準工業規格があるのか、ご存知ですか?
ここではまず、ガラスの厚さに関する基本を簡単に押さえましょう。

ガラスの厚さの種類

板ガラスとして工場で作られている厚さは特殊な産業用に使われる1mm以下の物から、2センチ近くある厚手の物までさまざまな厚さがあります。
一般に流通している家具や建築で使われる透明のフロート板ガラスなら、
と1mm刻みのあと、その後飛び飛びに10121519mm厚が製造されています。

フロートガラス以外なら、型板ガラスmm、mm、mmや、ワイヤー入り6.8mm厚などがよく使用されている規格です。

強化ガラスは透明フロートガラスを二次的に焼き入れして製造されますので製造可能な厚さも上記と同じです。ただし、強化ガラスの場合3mm以下の厚さでは強度が保てないため製造できません。3mm以下の場合はケミカル強化(化学強化)という特別な強化ガラスとなります。

各種のガラスの厚さにはJIS工業規格の公差が認められており、その誤差内で製造される決まりです。

ガラスの厚さの選定基準と考え方

ガラスは木材や鉄鋼などの材質とは異なり、脆く割れやすく、そして割れた時に危険な形状になります。衝撃に耐えられる強度について、個体によるバラツキがある、ということも計算を難しくしています。
本当の強度設計をする場合は、以下のような条件(要素)を与えて計算します。

どのような力が加わるか(分散具合も加えて考えます)
②ガラスの支え方(四辺で支えるのか、中に桟があるのかなど)
短期的な力か長期的な力か(水槽の壁など長期的な力がかかる場合強度低下が起こります)
たわみ(割れないにしてもたわみが起こると不安感があり外観上問題です)
安全率(計算上大丈夫なはずでも個体によって割れることがあります。そのバラつきをどれほど含めるか)

透明ガラスでよく使われる厚み

用途別にみる厚み

①窓ガラス
大型ビルや公共建築の構造計算では耐風圧(風によって受ける力)から安全な厚さを選定します。高層ビルなどでは、上階の方が強い風に耐えられるように厚いガラスが使われます。しかし一般の住宅設計ではそこまでの計算は行われていません。「これぐらいの大きさならこの厚さ」と建築士さんの経験で決められます。

②商業施設のガラス扉
自動ドアなどで枠の無いガラスの扉を見かけられたことがあるかと思います。このように枠の無いものは10mm以上の厚いものが使われます。不特定多数の人が使用する場所には安全率を大きくし、万が一の事故に備えなければいけません。また強化加工を施すことで薄く軽量にすることも考慮します。

③テーブルトップ
机や食卓にも板ガラスが使われています。たてよこの大きさどのように支えるかによって厚さを考えます。全面で支えるカバーの為のガラス天板なら薄くても割れにくいですが、両端だけで支える場合などは厚いガラスを選ばないと危険です。同じ面積でも細長い天板なら「たわみ」についても注意しなければいけません。ガラスがたわんでいるようなテーブルでは、安心してご飯が食べられないですよね。小さなサイズの場合でも一般的に5mm厚以上が使われています。



④ガラスの棚板
何を載せるかがとても重要です。フィギュアを飾る場合と、食器やお酒のボトルを飾る場合ではまったく変わりますよね。そして支え方によっても割れるか割れないかは左右されます。また、ガラスは製造されてから時間がたつと弱くなっていくことをご存知でしょうか?傷が増えていくことによって今まで割れなかったものが突然割れることがあります。お店など万が一割れたら大変な場所に使用するならより厚く、加えて飛散防止フィルムを施すなど安全に配慮しましょう。



⑤キャットウォーク
特殊な用途ですが、ネコのいるお家にガラス製の猫用通路(キャットウォーク)を取り付けたことがあります。室内壁の上の方に猫だけが悠々と歩ける通路です。かっこいい空間にはなりましたが無事ネコちゃんは歩いてくれているのでしょうか?
60cm刻みで支えを入れて10mm厚のガラスを使いました。

厚さごとの標準的な使用場所

①1mm厚
小さな工芸品やアクセサリーなど小物用としてなら1mm厚でも使用可能です。
耐熱ガラスやケミカル強化ガラスなど特殊な産業用ガラスもありますが、家具や建築などで一般的に使用されることはありません。

②2mm厚
室内用の障子ガラスに使われることがあります。割れやすいので屋外との窓には使用できません。額縁に使われるのも、この厚さが一般的です。

③3mm厚
一般住宅のアルミサッシにも使用されています。水槽の蓋や食器棚の扉などにもよく使用される厚さです。軽さとコスパの良さからぎりぎり3mm厚が選ばれたりします。変な喩えにはなりますが、少しなんというかアウトローなイメージです(笑)

④5mm厚
とても「ど真ん中」な厚さです。フロートガラスではもっとも販売数が多い厚さです。(当社実績)
テーブルトップや窓、小さめの棚板など、とりあえず5mm厚をベースに考えます。姿見に使われるガラスミラーもほとんど5mm厚のガラスを使用して作られています。

⑤6~8mm厚
5mm厚の次に使用用途が多いのが8mm厚です。見るからにしっかり頑丈な見栄えをしています。テーブル天板やや棚用としても安心感があります。

⑥10mm厚以上
大きなガラステーブルに使われていますが一人では持ち上げられないほど重いです。見た目もとても重量感があります。人が歩行の為に歩く場所にも10mm厚以上が使われます。店舗出入口の自動ドアに使われる枠の無いガラスも10mm厚がよく使われています。

わかりにくいガラスの「厚さ」を30秒で解決!

ガラスの用途と大きさから必要な厚さが想像できましたか?
厚さが決めれば、お見積り金額がわかります。
金額がわかれば、予算に合わせて厚さを再検討することも重要です。

しかし、理屈ではわかっても、実際にガラスの厚さを決めるのは難しいものです。プロの業者さんでもよく迷われます。どれくらいまで薄くしても大丈夫なのか、などの感覚的に掴みづらいですよね。

そんな、ガラスの厚みでお悩みのあなたに、とっておきのツールをご紹介します。

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こちらのフォームから相談を承っております。



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まとめ

ガラスの強度計算はいろいろ難しく棚板やテーブルに適したガラスの厚みを計算するのは大変です。

絶対に割れないガラスはこの世にありませんので、「料金」「重量」「見た目」「強度」「危険率」など総合的に判断して決めるしかありません。
インターネットには便利なサイトも数多くあります。皆様が安全なガラスを手に入れられますようお祈りしております。

ライター

博士

博士

鏡とガラスの専門家・ドクターKです。「博士」と呼ばれています。皆さんがよく巻き込まれるトラブルの原因やメカニズムを動画やコラムでわかりやすく解説します。